自分の考えを明確にするノートの書き方
クリティカルシンキングを日々の習慣にしたいと考えている皆様、こんにちは。
複雑な情報があふれる現代において、物事の本質を見抜き、自分自身の考えをしっかりと持つことは非常に大切です。しかし、頭の中で漠然と考えているだけでは、考えがまとまらなかったり、堂々巡りになったりすることもあるのではないでしょうか。
そこで今回ご紹介したいのが、「書く」という行為を活用してクリティカルシンキングを養う方法です。特に「ノートに書く」ことは、思考を可視化し、整理し、深めるための強力なツールとなり得ます。
なぜ「書くこと」がクリティカルシンキングに役立つのか
私たちは、頭の中だけで複雑な情報を扱おうとすると、すぐに混乱してしまいがちです。特に、多角的な視点から物事を検討したり、様々な要素の関係性を整理したりする際には、思考が追いつかなくなることがあります。
「書く」という行為は、頭の中にある曖昧な考えや断片的な情報を、紙の上(あるいは画面上)に「見える形」で取り出す作業です。これにより、以下のような効果が期待できます。
- 思考の可視化: 自分の考えが目に見えるようになります。これにより、何が分かっていて何が分かっていないのか、論理に飛躍はないかなどを客観的に捉えやすくなります。
- 情報の整理: バラバラだった情報や考えを、関連性を見つけながら整理することができます。構造的に理解が進みます。
- 新しい発見: 書いているうちに、それまで気づかなかった視点や、考え同士の繋がりが見えてくることがあります。
- 記憶の定着: 書くという行為自体が、思考のプロセスや内容を記憶に定着させる手助けとなります。
このように、書くことは単に記録するだけでなく、それ自体が思考を深めるプロセスなのです。
クリティカルシンキングを意識したノートの具体的な書き方
では、クリティカルシンキングを養うためには、具体的にどのようにノートを書けば良いのでしょうか。特別なルールや形式はありませんが、いくつかのステップや視点を取り入れることで、思考をより深く掘り下げることができます。
ここでは、思考を整理し、多角的に検討するためのステップをご紹介します。
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テーマや問いを設定する
- まず、何を考えたいのか、どんな疑問について答えを見つけたいのか、テーマや具体的な問いを明確にします。
- 例えば、「このニュースの背景には何があるのだろうか?」「この問題の本当の原因は何だろうか?」「この提案のメリット・デメリットは何だろうか?」といった具体的な問いを立ててみましょう。
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関連する情報を書き出す
- 設定したテーマや問いに関連する、知っていること、集めた情報、疑問に思うことなどを、思いつくままに書き出してみます。箇条書きでも、文章でも構いません。
- この時点では、情報の正確性や重要性は気にせず、とにかく「出す」ことを意識します。
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情報を整理し、関係性を見つける
- 書き出した情報をグループ分けしたり、図にしたりして整理します。
- それぞれの情報や考えが、どのように関連し合っているのかを考えながら、線で結んだり、階層構造にしたりしてみましょう。マインドマップのような形式も有効です。
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問いに対して分析・評価する
- 整理した情報をもとに、最初の問いについて深く掘り下げます。
- 提示された情報や考えの「根拠」は何だろうか? 他の可能性はないだろうか? 自分自身の「思い込み」はないだろうか? といった視点から分析します。
- 複数の情報がある場合は、それぞれの情報の信頼性についても考えてみます。
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自分なりの結論や仮説を導く
- 分析した結果をもとに、現時点で考えられる自分なりの結論や仮説をまとめてみます。
- これは確定的な答えである必要はありません。あくまで、現時点での最も妥当と思われる考えとして記述します。
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反論や異なる視点を検討する
- 自分の結論や仮説に対して、「もしこれが間違っているとしたら?」「他の人はどう考えるだろう?」「逆の立場から見たらどうだろう?」といった、意図的な反論や異なる視点を考えてみます。
- これにより、自分の考えの弱点に気づいたり、より強固なものにしたりすることができます。
これらのステップを順番通りに行う必要はありませんし、全てを網羅する必要もありません。最初は一部のステップだけを取り入れたり、自由に書き始めたりしても良いのです。大切なのは、「考えを外に出して、それに対して働きかける」という意識を持つことです。
無理なく書く習慣を続けるためのヒント
クリティカルシンキングを養うためのノートの書き方は、一度試すだけでなく、習慣として継続することでより大きな効果を発揮します。しかし、いざ習慣にしようと思うと、なかなか続かないということもあるかもしれません。
ここでは、無理なく書く習慣を続けるためのいくつかのヒントをご紹介します。
- 完璧を目指さない: 最初から綺麗にまとめようと思ったり、毎日書こうと気負ったりする必要はありません。書ける時に、書きたいことから書き始めるのが一番です。
- 短時間でもOK: 長時間集中して書く必要はありません。通勤時間や休憩時間、寝る前など、1日5分でも10分でも、決まった時間に少しだけ書いてみることから始めましょう。
- ツールにこだわらない: 高価なノートやペンを用意する必要はありません。手近にあるメモ帳やノート、あるいはパソコンやスマートフォンのメモアプリなど、自分が一番気軽に使えるツールを選びましょう。
- 「書く場」を決める: 書くための場所を決めておくと、習慣化しやすくなります。例えば、「毎朝、リビングのこのテーブルで」「寝る前に寝室で」といったように、特定の場所と紐づけてみてください。
- 小さな成功体験を積み重ねる: 「今日は5分だけ書けた」「疑問に思っていたことを書き出せた」など、小さなことでも良いので、できたことを意識し、自分を褒めてあげましょう。
書くこと自体を楽しむ姿勢を持つことが、習慣化への一番の近道かもしれません。
まとめ
「書く」という行為は、私たちの頭の中にある抽象的な思考を具体化し、整理し、客観的に見つめ直すための非常に有効な手段です。クリティカルシンキングを意識してノートを書く習慣を身につけることで、複雑な情報の本質を見抜く力や、自分自身の考えをより明確にする力が養われます。
最初から完璧を目指すのではなく、まずは気軽に、短い時間から始めてみてください。日常のふとした疑問や、気になったニュース、読んだ本の内容など、書きたいことはきっと見つかるはずです。書く習慣を通じて、あなたの思考がさらに豊かになることを願っています。